宗教学の名著

二つの宗教学の名著ブックガイドから

 

◆『宗教学の名著30』島薗進著(ちくま新書

 

1 宗教学の先駆け

空海三教指帰』―比較の眼差し

■イブン=ハルドゥーン『歴史序説』―文明を相対化する

■富永仲基『翁の文』―宗教言説の動機を読む

■ヒューム『宗教の自然史』―理性の限界と人間性

2 彼岸の知から此岸の知へ

■ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』―形而上学の解体の後に

■カント『たんなる理性の限界内の宗教』―倫理の彼方の宗教

■シュライエルマッハ― 『宗教論』―宗教に固有な領域

ニーチェ道徳の系譜』―宗教批判と近代批判

3 近代の危機と道徳の源泉

フレイザー金枝篇』―王殺しと神殺し

ウェーバープロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』―宗教の自己解体

フロイト『トーテムとタブー』―父殺しと喪の仕事

■デュルケム『宗教生活の原初形態』―宗教は社会の源泉

4 宗教経験と自己の再定位

■ジェイムズ『宗教的経験の諸相』―「病める魂」が開示するもの

姉崎正治法華経の行者 日蓮』―神秘思想と宗教史叙述の地平融合

■ブーバー『我と汝』―宗教の根底の他者・対話

■フィンガレット『論語は問いかける』―聖なるものとしての礼・儀礼

5 宗教的なものの広がり

柳田国男『桃太郎の誕生』―説話から固有信仰を見抜く

ホイジンガホモ・ルーデンス』―遊びの創造性と宗教

エリアーデ『宗教学概論』―有限が無限に変容するとき

五来重高野聖』―唱導と勧進の仏教史

6 生の形としての宗教

■ニーバー『アメリカ型キリスト教の社会的起源』―持たざる者の教会

■レ―ナルト『ド・カモ』―神話的な生の形

エリクソン『幼児期と社会』―母子関係と自立の試練

ショーレムユダヤ神秘主義』―神話的経験の再活性化

井筒俊彦コーランを読む』―言語表現からの実存解釈

7 ニヒリズムを超えて  

ヤスパース『哲学入門』―実存・限界状況・軸の時代

バタイユ『呪われた部分』―消尽と無による解放

ジラール『暴力と聖なるもの』―模倣の欲望から差異創出へ

■湯浅泰雄『身体論』―修行が開く高次システム

バフチンドストエフスキー詩学の諸問題』―多元性を祝福する

 

 ◆『宗教学』大田俊寛著(人文書院)「ブックガイドシリーズ 基本の30冊」

第1部 祖先崇拝の論理 

■フュステル・ド・クーランジュ『古代都市』

加地伸行儒教とは何か』

柳田國男『先祖の話』

 第2部 宗教の基礎理論 

■ロバートソン・スミス『セム族の宗教』

■ジェイムズ・G・フレイザー金枝篇

■エミール・デュルケム『宗教生活の原初形態』

ジークムント・フロイト『トーテムとタブー』

 第3部 中世における政治と宗教 

■マルセル・パコー『テオクラシー』

■エルンスト・H・カントーロヴィチ『王の二つの身体』

菊池良生『戦うハプスブルグ家』

井筒俊彦イスラーム文化』

 第4部 近代の国家・社会・宗教    

■トマス・ホッブスリヴァイアサン

マックス・ヴェーバープロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

■森孝一『宗教からよむ「アメリカ」』

■村上重良『ほんみち不敬事件』

南原繁『国家と宗教』

 第5部 個人心理と宗教

■フリードリヒ・シュライアマハー『宗教について』

ウィリアム・ジェイムズ『宗教的経験の諸相』

■アンリ・エレンベルガ―『無意識の発見』

■ラルフ・アリソン『「私」が、私でない人たち』

■E・キュブラー・ロス『死ぬ瞬間』

第6部 シャーマニズムの水脈

■ミルチア・エリアーデ『シャーマ二ズム』

■I・M・ルイス『エクスタシーの人類学』

上田紀行スリランカの悪魔祓い』

 第7部 人格改造による全体主義的コミューンの形成

■ハナ・アーレント全体主義の起源』

■チャールズ・リンドホルム『カリスマ』

■米本和弘『洗脳の楽園』

第8部 新興宗教・カルトの問題

横山茂雄『聖別された肉体』

小川忠原理主義とは何か』

大田俊寛オウム真理教の精神史』